皆さんこんにちは!「ケンドルラボ」担当・ケン太です。
愛車のちょっとした整備を依頼しようとディーラーに電話をかけると「入庫は早くても1か月ほど先に」との返答が。
驚いて理由を尋ねると、申し訳なさそうに「結構な数のリコールがありまして…」とのことでした。
人気車種のリコールであれば1店舗あたりの台数だけでも相当なものでしょうし、整備士不足という状況も重なって、想像以上に現場は大変なのだと思います。
そんな出来事がありましたので、今回のケンドルラボは「リコール制度」についてのお話です。
まずは「リコール制度の概要」と「リコールの流れ」から
リコール制度とは「設計・製造過程に問題があったために安全・環境基準に適合していない(又は適合しなくなるおそれがある)自動車について、自動車メーカーが自らの判断により、国土交通大臣に事前届出を行った上で、無料で回収・修理を行い、事故・トラブルを未然に防止する制度(国土交通省の資料より)」で、昭和44年(1969年)に国土交通省(当時の運輸省)によって導入されました。
「自動車メーカーが自らの判断により」とあるように、リコールは自動車メーカーによって自主的に行われることが基本となっていますが、どのような流れで実施されるのでしょうか?基本的な流れを見ていきましょう。
自動車メーカーが製品に関する不具合情報を入手すると、まずは不具合についての調査・検討を行います。
その結果、保安基準に適合しなくなる(または適合していない)状態にあり、その原因が設計・製造過程にある場合にリコール実施が決定されます。
不具合の状況や原因、改善措置の内容、周知の方法などについては、自動車メーカーが国土交通省に届出を行います。届出が受理されると、いよいよリコールの公表・実施となります。
リコールの実施後は、自動車メーカーが国土交通省に対して改善措置の実施報告を行います。
特定の自動車に不具合や事故が多発しているにも関わらず、自動車メーカーによって適正にリコールが実施されない場合は、国土交通大臣から自動車メーカー等に対して「改善措置の勧告」が行われます。
もしも自動車メーカー等が勧告に従わない場合には、勧告に従わない旨が公表され、そしてリコール命令が下されることになります。
クルマは進化しているはずなのに…リコールが年々増加している理由は?
私たちの暮らしに役立つさまざまな製品の信頼性・耐久性は年々向上しています。
それは自動車にも当てはまることで、とくに日本の自動車メーカーのクルマは故障やトラブルが極めて少ないことで知られています。
ところが、日本車も含めてリコールの件数は減少するどころか増加しているのが実情です。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。
リコールが増加している大きな理由のひとつとして、「部品の共用化」が挙げられます。
自動車メーカー同士の競争が激化する中で、開発・生産コストの抑制、技術的特許の関係などから、さまざまな車種に同じ部品が採用されるケースが増えています。
複数の車種に採用されたり、他メーカーにOEM供給されたりしているクルマの部品に不具合が見つかれば、当然ながらリコールの数は増えていきます。
そのほかにも、コンプライアンスが厳しくなったり、自動車メーカーと顧客とのコミュニケーションの取り方の変化であったり、いくつかの理由が考えられます。
不具合についての公表はマイナスの影響がありそうですが、積極的な対応により事故やトラブルの防止、顧客からの信頼度の向上につながるというメリットが重視されているのかもしれません。
リコールと改善対策、サービスキャンペーンとの違いは?
クルマに何らかの不具合がある場合、自動車メーカーからお知らせのハガキを受け取ったり、ディーラーの営業担当者から連絡を受けたりすることになりますが、それらすべてがリコールとは限りません。
リコール以外の改善措置についても確認しておきましょう。
■改善対策
リコールとは異なり「保安基準」には適合しているものの、不具合が発生した場合に危険が生じたり、環境に悪影響を与えたりする可能性が高いとみなされる状態で、その原因が設計・製造の過程にある場合に実施されます。
■サービスキャンペーン
リコールや改善対策には該当しない不具合(安全確保や環境保全に直接関係ないもの)について実施される改善措置です。
■保証期間延長
クルマについては自動車メーカーごとに保証期間(5年10万キロなど)が決まっていますが、特定の不具合に限定して保証期間や走行距離が延長される場合があります。
私のクルマはリコールの対象になってない?どうやって調べればいい?
ずいぶんと前のことですが、夜間走行中にヘッドライトが突然消えるというトラブルに遭遇し、夜明けまでサービスエリアでボンヤリ過ごしたことがあります。
その数か月後、リコールのお知らせハガキが届きました。
私の場合はリコールが出る前だったので仕方がないのですが、すでにリコールが出ているにも関わらず、それを知らずにトラブルに遭遇するというのは避けたいもの。
愛車がリコール対象になっているかどうかを、この機会に調べておきましょう。
もっとも確実なのは、自動車メーカー系のディーラーに出向いて、愛車がリコール対象になっているかどうかを調べてもらうという方法です。
ディーラーであればリコールの対象になっているかどうかだけでなく、過去にリコール対策が行われているかどうかも分かります。もしも対策されていなかった場合でも、その場で入庫予約などができて安心です。
「ディーラーに出向く時間がない」「今すぐ調べたい」という方は、国土交通省や自動車メーカーなどのホームページで調べることもできます。「リコール情報検索」というキーワードで検索すると、「リコール情報検索 連ラクダ」というホームページが出てきます。
ここは国土交通省のホームページで、車名(自動車メーカー名)、クルマの型式、届出日から、自分のクルマがリコール対象かどうかを検索できます。
自動車メーカーのホームページにも同様のサービスがありますが、自動車メーカーのホームページの場合、自分のクルマがすでに対策済みかどうかも分かりますのでオススメです。
これらはもちろん、新車・中古車を問わず利用できますので試してみてください。